脳科学から怒りを解明 キレやすい人の特徴は?怒りはどこからくるの?

怒りの感情は、心から生まれてくると思われがちですよね。でも、「怒りの感情は、心ではなく、脳から生まれてくる」という学説もあります。

 

そこで、脳科学に基づいて、怒りという感情について紐解いていきたいと思います。

 

怒りの感情が生まれた時、脳では何が起きているのか?

では、まず、怒りの感情が生まれた時、人間の脳内では何が起きているのかについてお話していきます。

 

怒りの感情は、平穏な状況にいる時は生まれてきません。怒りの感情が生まれるのは、「何かに対して、責めや攻撃をしたくなった時」です。

 

このような時、人間の脳内は、興奮が高まった状態になっています。それにより、「ノルアドレナリン」という物質が大量分泌されます。

 

「ノルアドレナリン」とは、「闘うホルモン」とも言われ、これが分泌すると、人間の体は瞬時に臨戦態勢になるのですね。その結果、「相手を倒そう」「相手を打ち負かそう」という感情を生み出します。

 

つまり、相手を憎んだり倒そうとしたりするために、怒りの感情が生まれ、相手に対する好意が消え去ってしまうようになるのです。

 

 

ちなみに、「急に昔のイヤなことを思い出して、怒りの感情が出てきた」ということもありますよね。このタイプの怒りに関しても、脳内で起きていることは同じであるようです。

 

「昔のイヤなこと」及び「昔のイヤなことに携わった人達」に対する攻撃性や闘争心が高まって、脳内が興奮状態になっているのです。この場合、「昔のイヤなこと」「昔のイヤなことに携わった人達」に、今直接文句を言うわけにいきませんね。

 

そのため、生まれた怒りの感情が行き場をなくし、更にイライラするという悪循環になるケースも多いようです。

 

キレやすい人の脳内の特徴は

 

キレやすい人」とは、言い換えれば、「脳内が常に興奮状態にある人」だと言えます。先ほどお話したように、怒りの感情は、脳内の興奮状態によって生まれるからです。

 

では、キレやすい人は、なぜ常に脳内が興奮してしまうのでしょうか。

 

どんな人でも、何かのきっかけで、一時的に脳内が興奮してしまうことはあります。でも、大抵の場合、時間が経てば、その興奮は収まるため、怒りも比較的すぐに鎮まります。

 

ところが、キレやすい人は、この興奮状態が継続しやすいのです。また、ちょっとしたことに対しても、ネガティブな過剰反応を示してしまうことも、キレやすさの原因の1つです。

 

なぜこのような状態になるかと言うと、日頃からの「安心感」の不足です。

 

脳内に「安心感」を持っていると、一時的に怒りを感じても、「平穏」の状態の心地良さを知っているため、「平穏」「安心」に自然に戻ろうとするのです。

 

ところが、キレやすい人は、興奮状態にばかり身を置いてしまう癖があるため、いつまで経っても「平穏」「安心」に戻る音ができません。

 

そのため、無意識的に更なる興奮を求め、知らず知らずのうちに、次の怒りの材料を探すことすらあります。この習慣の繰り返しが、キレやすい性格を生み出していると言われています。

 

怒りの感情に支配されないためには

怒りの感情は厄介なものですが、意識的にコントロールすることは、どんな人でも十分に可能です。怒りの感情は、興奮から生まれるものでしたね。

 

そのため、興奮状態をできるだけ早く鎮める「練習」をすれば、「平穏」「安心」の状態に戻りやすくなります。

 

 

怒りの感情が生まれたら、それが大きくなる前に、「今怒りの感情が生まれた」と自覚しましょう。怒りの感情が生まれたことに対して、「悪いことだ」とジャッジする必要はありません。

 

あくまで、「今自分の中には怒りの感情がある」ということを、淡々と自覚することが大切なのです。

 

自覚しないままだと、自分の中に生まれた感情の正体が、いつまで経ってもわからないままです。これでは、感情をコントロールする事すらできなくなりますよね。

 

次に、最低10秒以上の時間をかけて、ゆっくりと息を吐いてみてください。「息を吐く」という行為は、心身のリラクゼーション効果が高いと言われています。

 

これをゆっくり丁寧に行うことで、脳内の興奮を鎮める効果が期待できます。

 

次に、息を吸う時は、いつもより少し大きめに吸い、脳内に新鮮な酸素を取り込みましょう。この「丁寧な呼吸」を意識的に数分繰り返す練習をしてみてください。

 

繰り返すうちに、冷静な自分を取り戻しやすくなるのを感じると思います。