
この記事は、常日頃から、「楽しい時間はなぜ短く感じるのか」という疑問を持っている人や、また、脳科学に興味があり、時間の概念を脳科学から検証してみたいという人にもオススメの内容となっています。
今回は楽しい時間は短く感じて、イヤな時間は長く感じる…その理由について解説しています。興味がある人はご覧ください^^
情報処理が複雑になれば時間を長く感じてしまう
現代は情報過多の世の中ですが言い換えれば、脳の中で処理するべき情報が多くなってきているということですよね。
その結果、現代人は、時間を長く感じてしまうようになっているそうです。そこで、情報処理の複雑化と時間の概念について、脳科学的な観点から検証していきます。
脳は新しい情報をスムーズに処理できない
脳は基本的に、今まで慣れ親しんだ情報を処理するのは、時間をかけずにすぐ行うことができます。でも、今まで全く知らなかった「新しい情報」が脳に入ってくると、それを処理して落とし込むのに時間がかかってしまうのです。
身近な例でお話しすると、仕事で新しいマニュアルが導入された時、それを理解して、自分の中に落とし込むまでに、どうしても時間がかかりますよね。
この新しい情報がなかなか理解できないと、「早く理解できればいいのに」と苛立ちをおぼえますよね。そしてこれが続くと、「モヤモヤした時間がずっと続く」という錯覚が起きてしまいます。
これは、「脳が新しい情報を、スムーズに処理しきれていない」という状態であると言い換えられます。でも、その渦中にいる私たちは、「なかなか解決しない」とイライラした状態が続きます。
情報処理が少なければ短く感じる
脳は、処理しなければならない情報量が少ないと、時間の感覚を変化させます。つまり、処理すべき情報量が少なければ少ないほど、時間を短く感じるのです。
では、なぜ情報処理が少ないと時間を短く感じるようになるのか、脳科学的な視点でお話していきます。
情報処理が少ないということは、「脳がそれほど働く必要がない」ということ
脳が処理すべき情報が少ないということは、「脳が情報処理という仕事をあまりしなくてもいい」ということですよね。つまり、脳がフル回転していないので、「余裕のある状態」であるということです。
脳が「余裕のある状態」だと、軽やかな時間がするするとスムーズに流れていく感覚をおぼえると思います。この「スムーズな時間の流れ」に委ねていると、脳もその感覚を認識し、時間を短く感じるようになるのです。
先ほど、「処理する情報量が多いと、時間を長く感じる」というお話をしましたね。これは、「なかなか進まない時間が重くのしかかっている」という状態なので、時間を長く感じてしまいます。
ドーパミン量が多くなると時間は短く感じる
「嬉しい」「楽しい」と感じると、脳内から分泌されるドーパミン量が増えると言われています。その結果として、時間が短く感じられるようになってしまうのですね。
ここでは、「楽しい・嬉しいという感覚」と、時間を体感することの感覚との関係を、脳科学的な視点から見ていきたいと思います。
ドーパミン量が多い状態は、「過集中の状態」
「嬉しい」「楽しい」と感じている時、人は、「その瞬間」に100%集中していて、いわゆる「過集中の状態」にあります。
この時、脳内で何が起きているのかと言うと、ドーパミンという物質が多く分泌しています。脇目もふらずに何かに集中している時には、決まって、ドーパミンが大量に分泌されるのです。
このドーパミンは、脳内の時間感覚をコントロールするために欠かせない物質だと言われています。ドーパミンが多く分泌すると時間が短く感じられ、分泌が少ないと時間が長く感じられます。

「嬉しい」「楽しい」と感じる時は、集中力が最高レベルまでに達している状態ですから、ドーパミンの分泌量が多い=時間が短く感じられる」ということですね。
ちなみに、これは人間だけではなく他の動物も同じで、この事実は、動物実験によって明らかにされているそうですよ。
年をとると時間が速くなると感じてしまう理由
「年をとると、時間が過ぎるのを速く感じる」とよく言いますが、これは、ジャネーの法則というものに基づいた説です。
では、年をとると、なぜ時間を短く感じるようにに変わってしまうのでしょうか。
ここでは、ジャネーの法則について解説し、加齢と時間の変化について考えていきます。
ジャネーの法則とは、時間間隔の変化を数式化したもの

ジャネーの法則とは、年齢を重ねるごとに変化する時間感覚を、数式に置き換えて表した法則です。
ジャネーの法則によると、人間が感じる体感時間のスピードは、「年齢の数字分の1」に年々変化し、スピードアップしていくと言われています。
これはどういうことかと言うと、まず、1歳の時に感じている体感時間の数値を、「1」という設定にします。そうすると、3歳になった時の体感時間は「1歳の時から比べると3分の1」に変化します。
言ってみれば、「1歳の時よりも、時間が流れる感覚が3倍速くなった」ということですね。
これは年齢を重ねるごとに進んでいくので、50歳になった時の体感時間は、「1歳の時に感じていたスピードの、50分の1」になります。
1日の体感時間をもっと長くするには
基本的に、時間の長さの感じ方は「この世の黄金律」なので、人間が変えることはできません。でも、何かを勉強し続けたり、自発的に行動を起こしたりして、自分に刺激を与えると、体感時間を延ばすことができるようです。
ここでは、1日の体感時間を長くするためにはどうしたらいいのか、その方法についてお話します。また、脳疲労にはマインドフルネスがおすすめです。
自分に刺激を与え続けよう!そうすれば体感時間が長くなる
体感時間を長くするためには、わくわくするような楽しいことをたくさんして、自分に刺激を与え続けることがオススメです。
でも先ほど、「嬉しいことや楽しいことに集中していると、時間が短く感じられる」というお話も出てきましたよね。
確かに、「長時間1つのことだけ」に集中していると、時間が経つのが短く感じられます。そこで、体感時間を長くするには、「長時間1つのことだけ」という点を、少し変えていくことがポイントです。
次々と別の作業をしていくと、脳がそのための情報処理に忙しくなりますよね。その結果、体感時間が長く感じられ、「今日はゆったり・たっぷり時間を使えた」という満足感を十分に味わえますよ。
ただ自分に刺激を与えるだけでなく、「時間を決めて、複数の作業を次々行うこと」が大きなポイントです。